今年もあいつはやってきた。例に洩れずやってきた。
その名はK・O・T・A・T・U。
こたっつぁんは心優しき家具(と書いて家族と読む)。
我々はヤツにどれほど世話になってきたことか。
凍えた身体を、そして心を、
こたっつぁんは優しく温めてくれる。
来る日も来る日も、
人々はこたっつぁんの元に集い、寄り添い、
ヤツのぬくもりに触れる。
ヤツは寡黙な野郎だ。
我々が泣き、笑い、歌うときも傍でただ黙って見守っている、
そんな野郎さ。
こたっつぁんよ、この冬も頼むぜ。。。
ただ、我々には一抹の不安がある。
そう、ヤツの......健康だ。
こたっつぁんはカレコレ15年以上、第一線でやってきた。
こたつとしてはなかなかの場数を踏んでいる。
ヤツの性格上、あと5年は頑張りたい感じだが、
しかしながら、幼少期のあゆは、ものっそ粗暴かつ悪戯小僧。
当然ヤツにも白羽の矢が立った。
「なぁなぁ、カズくん(幼馴染のカズキ・4歳)。折り紙しよう」
「うん」
「どっちがいっぱいのり塗れるか勝負な!」
折り紙にのりを塗りたくるという、ナゾの勝負を始めたふたりの4歳児。
こたっつぁんはこの日も黙ってそれを見つめていた。
「で〜きた!ハイ、終わり〜。あゆの勝ち!!」
自分ができたとたんにゲームセット。
まことにセコイ。
この理不尽な勝敗に、当然カズキは抗議する。
「え〜、カズキまだ終わってないもん。あゆちゃんズルイよぉ」
「はぁぁぁぁぁぁぁ!?遅いのが悪いんやろ!ズルイなんて言ったこと謝って!」
お前こそ謝れ。
(あゆちゃないつもこうだなぁ。将来は大丈夫なのか・・・)
心配になるこたっつぁんであった。
ふたりはなんとか仲直りし、今度はこたっつぁんの中で遊び始めた。
「なぁカズくん、のり乾いた?」
「ううん、全然」
どうやら例の折り紙を乾かしているらしい。
ひと時の静寂。
こたっつぁんはいつのまにかうたた寝をしていた。
(なんだかお腹がくすぐったいな。あれ?何かぬちゃぬちゃする・・・?)
クスクス......クスクス......
目を覚ましたこたっつぁんの耳にふたりの忍び笑いが聞こえた。
(え?え!?えぇぇぇぇーーーーッッ!?!?!?!?!?)
カズキが帰ったあと、マミーが帰って来た。
「今日はカズくんと何して遊んだの?」
「おりがみーッ」
「へぇ、家で遊んだの。めずらしいわね」
ブブブブブブブブ...........................ジジジジジ..................
「あれ?何か変な音するわね」
(お母さーん!その子ただの折り紙じゃありませんよー!早く剥がしてぇぇ
ちょっ、ほんと!燃えちゃうから!!早くぅぅぅ)
「ま、いっか」
(・・・・・お前らいつかブッ飛すッッッッッ!!!!!!!)
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