移植
白血病の治療は骨髄移植というイメージがありますが、
すべての患者さんが移植を行うわけではありません。
そして移植は非常に危険な治療でもあるのです。

私にとって・・・
 私の白血病M5は薬の効きが悪いため、移植を考えるのがふつう。
でも私は薬が良く効いている。でもおそらく再発する。でももしかするとこのまま治るかもしれない。でも再発すると次は移植できないかもしれない。。。
 医学的にどちらがいいと言えないらしい。だから自分の生への価値観から自己決定しなくてなはらなかった。この歳で命についての価値観なんて言われても、いくら頭をひねっても解からなかった。
 
 早く決断しようと思うけれど、自ら壮絶な苦しみの中に飛び込むかどうかは、当然毎日を重々しく圧迫した。
 
 鉛の首輪が私を締めつけ、『私は囚人。無実の罪で捕らえられた囚人だ』そう思った。暗く寒い牢獄で苛烈な拷問が2年間続く。その後は死刑になるのか、無罪放免になるのか、それともまた牢獄へ逆戻りか、全く分からない。
 そしてここを逃げ出すチャンスがやってきたが、牢の外は地獄と呼ばれる場所で、牢とは比べものにならない苦しみが待っていることを知る。地獄の向こうにあるのは未知の国。殺されるか、体のどこかを奪われるか、助けられるか。。。
 
 たった一つの、一度きりの生命を賭けた選択。これは小説ではなく、フィクションでもない。この選択を間違えると、私は消えてしまう。
 「生きたい、生きたい、生きたい」
そう思うほど苦しくなって、苦しくなるほどそう思った。
悩み考え続けたが、答えは出せなかった。
 
 何ヶ月も悩んで、やっとひとつの方向を決定した。 
 検査で今すぐには移植の必要がないことがわかり、それならば急がずに薬を続けて様子をみようと。少しでも悪くなれば移植をすると。
 決定してしまうと、スゥーっと気持ちが軽くなり、「絶対薬で治す!移植となったらがんばる!悔いのない生き方をする!毎日を精一杯生きる!」と心に決めた。

1    同種造血幹細胞移植
2006.07.09 Sun. 
・骨髄移植(骨髄から)
・臍帯血移植(赤ちゃんのへその緒から)
・末梢血幹細胞移植(腕などの血管から)
 
 強力な抗がん剤・放射線を処置(前処置)し、体内のすべての悪性細胞と残存する正常血液細胞を死滅させ、ドナーからの正常な造血幹細胞(骨髄・さいたい血・末梢血)を体内に入れて、骨髄を入れ換えて治す方法。
 移植をする理由は、前処置で悪性細胞を死滅させ、骨髄の造血を再構築するためですが、もう一つに移植したドナーのリンパ球の免疫力を利用して、リンパ球が白血病細胞を攻撃することを目的としています。

2    移植後生存率
2006.07.15 Sat. 
 急性白血病の寛解(見た目は治った)状態、慢性期の慢性骨髄性白血病では、約50%が治癒。30〜40%が再発。
 寛解でない急性白血病や急性転化をおこした慢性骨髄性白血病では、95%以上が再発してしまいます。
 患者さんが50歳以上の場合、死亡率は高くなってしまいます。


3    移植の死亡原因
2006.07.15 Sat. 
以下の原因等で約20%の患者さんが1年以内に亡くなってしまいます。
(ドナーさんが非血縁者の場合約30%)
 
・抗がん剤を用いた前処置による副作用(心臓、肝臓、腎臓の障害)…あまりない
・感染(細菌、真菌(カビ)、ウィルス、肺炎)…肺炎は危険
GVHD(ドナーのリンパ球が患者の臓器を攻撃する)…これが非常に問題
・VOD(肝臓の静脈が詰まる)
・TMA(細い動脈が詰まる)
・生着不全(ドナーの骨髄が働かない)…骨髄移植より臍帯血のほうが多い

4    GVHD(移植片対宿主病)
2006.07.15 Sat. 
 拒絶反応の逆バージョン。
臓器移植では、自分のリンパ球が移植した臓器を異物として攻撃しますが、
造血幹(骨髄)移植では、ドナーの造血幹細胞(骨髄)のリンパ球が自分のあらゆる臓器を異物として攻撃します。
 GVHDは体のどこに現れるか、どの程度現れるか、移植してみないとわかりません。大抵の患者さんが腸に現れてひどい下痢(1日5gなど)が続きます。このような急性GVHDがひどい場合、死亡に到ることがあり、また慢性GVHDでドライアイ、唾が出ない、呼吸器障害などが起こることがよくあります。(慢性は治らないことも)

5    造血幹移植の適応(成人急性白血病)
2006.07.21 Fri. 
D:積極的に移植を勧める場合
R:移植を考慮するのが一般的な場合
CRP:研究的治療
NR:一般的に勧められない場合
 
 


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